秋田県にかほ市は、鳥海山と日本海に抱かれた自然豊かなまち。
ここでは、古くから受け継がれてきた伝統行事と、地域の人々が手づくりで育ててきたお祭りが一年を通して楽しめます。
冬の「掛魚まつり」に始まり、春の「チョウクライロ舞」、夏の「にかほの花火」、そして秋の「鳥海山伝承芸能祭」まで、四季の移ろいとともにまち全体が彩られていくのが魅力です。
この記事では、にかほ市で開催されるお祭りを季節ごとに一覧でご紹介。
伝統文化に触れながら、にかほの人々の想いと温もりに出会う旅へとご案内します。
観光の計画や撮影スポット探しにも役立つ、2025年最新版のお祭りガイドです。
にかほ市のお祭りを巡る旅の魅力とは
秋田県の最南端に位置するにかほ市は、鳥海山と日本海に囲まれた自然豊かなまちです。
四季折々の風景とともに、古くから受け継がれてきた伝統行事や地域の人々が心を込めて開催するお祭りが、今も大切に守られています。
ここでは、にかほ市で開催される年間のお祭りを巡りながら、地域文化の魅力と人々の想いに触れていきましょう。
鳥海山と日本海に抱かれた「にかほ市」ってどんなまち?
にかほ市は2005年に仁賀保町・金浦町・象潟町の3町が合併して誕生しました。
松尾芭蕉が「奥の細道」で訪れた象潟の九十九島や、鳥海山の雄大な景観が広がる風光明媚な地域として知られています。
自然と信仰、そして人々の暮らしが調和した土地であり、まちのあちこちに歴史と文化の息吹を感じることができます。
地元の人が守り続ける伝統と文化の息づかい
にかほ市では、鳥海山信仰に由来する「番楽」や「神楽」などの伝統芸能が今も各地区で受け継がれています。
地域の人々が世代を超えて守り続けるその姿は、単なる観光イベントではなく、“生きた文化”として今も暮らしに息づいていることを実感させてくれます。
そんなにかほ市のお祭りを訪れると、まるで時間がゆっくりと流れているように感じることでしょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 位置 | 秋田県南西部、日本海沿岸 |
| 名所 | 鳥海山・象潟九十九島・ねむの丘 |
| 文化 | 番楽・神楽・漁師文化 |
| 特徴 | 自然・伝統・人の温かさが共存 |
冬のお祭り|厳かな伝統が息づく季節
冬のにかほ市は雪景色に包まれ、神聖な空気が漂います。
そんな季節に行われるお祭りは、海の恵みや新年の豊穣を願う祈りに満ちた行事ばかりです。
寒さの中で焚かれる炎や響く太鼓の音は、どこか心をあたためてくれます。
掛魚まつり(たらまつり)|350年以上続く海の祈り
2月4日の立春に行われる「掛魚(かけよ)まつり」は、金浦地区で350年以上続く伝統行事です。
別名「たらまつり」とも呼ばれ、地元で獲れた10キロ超の寒鱈を竹竿に吊るして練り歩く勇壮な光景が見られます。
祭りの中心となる金浦神社では、海上安全と大漁を祈願する神事が行われ、漁師町の誇りと祈りが凝縮された行事として多くの人々に親しまれています。
奉納される「金浦神楽」では、水色と白の衣装をまとった子どもたちが笛や太鼓に合わせて舞を披露します。
その姿はまるで、冬の海に差す光のように清らかです。
| お祭り名 | 掛魚まつり(たらまつり) |
|---|---|
| 開催日 | 毎年2月4日(立春) |
| 場所 | 金浦地区(金浦神社) |
| 特徴 | 大鱈を担ぐ行列と金浦神楽の奉納 |
七高神社の正月年占行事|自然とともに未来を占う神秘の神事
院内地区の七高神社では、12月17日から約1か月にわたって「正月年占行事」が行われます。
秋田県指定無形民俗文化財にも選ばれており、松の葉や炎の動きから一年の吉凶を占うという神秘的な行事です。
「御門松神事」「おぶこ酒行事」「獅子巡行」などが行われ、自然と共に暮らしてきた人々の知恵と祈りを感じられます。
夜の境内に灯る火は、まるで過去と未来をつなぐ光のように揺らめきます。
| お祭り名 | 七高神社の正月年占行事 |
|---|---|
| 開催期間 | 12月17日〜翌1月中旬頃 |
| 指定 | 秋田県指定無形民俗文化財 |
| 特徴 | 御門松神事・獅子巡行など複数の神事 |
にかほ冬フェスティバル|笑顔あふれる冬のにぎわい
伝統行事だけでなく、にかほ市では冬を明るく楽しむイベント「にかほ冬フェスティバル」も開催されます。
東北各地のアイドルやダンスチームのステージ、そしてご当地ヒーロー「超神ネイガー」の登場で会場は笑顔に包まれます。
寒さを吹き飛ばす元気な冬の祭典として、子どもから大人まで楽しめるのが魅力です。
| イベント名 | にかほ冬フェスティバル |
|---|---|
| 開催時期 | 2月上旬 |
| 会場 | にかほ市内(主に道の駅象潟周辺) |
| 内容 | 音楽ステージ・地元グルメ・ヒーローショー |
春のお祭り|新緑とともに感じる生命の息吹
雪解けとともに鳥海山のふもとに新しい命が芽吹く春。
にかほ市では、あたたかな陽射しとともに地域を彩るお祭りが続々と開催されます。
冬を越えた喜びを分かち合うように、人と人の笑顔が街にあふれる季節です。
にかほ春フェスティバル|春風にのせて楽しむ地元グルメ
毎年4月下旬から5月上旬にかけて開催される「にかほ春フェスティバル」は、にかほ市の春の風物詩です。
道の駅象潟「ねむの丘」周辺を中心に、地元グルメの屋台や農産物の直売ブースが立ち並びます。
冬を越えた喜びを分かち合うイベントとして、地域の人々が心から春の訪れを楽しむ姿が印象的です。
ご当地ヒーロー「超神ネイガー」のステージも登場し、子どもたちの歓声が響きます。
| お祭り名 | にかほ春フェスティバル |
|---|---|
| 開催時期 | 4月下旬〜5月上旬 |
| 会場 | 道の駅象潟「ねむの丘」 |
| 内容 | 地元グルメ・ステージイベント・物産販売 |
小滝のチョウクライロ舞|平安時代から伝わる感謝の舞
5月最終土曜日に開催される「小滝のチョウクライロ舞」は、国指定重要無形民俗文化財に指定される貴重な伝統行事です。
鳥海山のふもとにある金峰神社の例大祭で奉納され、舞の起源は平安時代にまでさかのぼると伝えられています。
手長足長という鬼を退治したことに感謝して始まったという伝説があり、6人の男児が花笠をかぶって舞う「小児の舞」など、さまざまな演目が披露されます。
舞が終わると花笠の花が見物客に配られるという温かな風習もあり、地域の絆を感じることができます。
| お祭り名 | 小滝のチョウクライロ舞 |
|---|---|
| 開催日 | 5月最終土曜日 |
| 会場 | 金峰神社(小滝地区) |
| 指定 | 国指定重要無形民俗文化財 |
夏のお祭り|海辺が輝くエネルギッシュな季節
日本海の風が心地よく吹く夏、にかほ市の海辺は活気に満ちあふれます。
地元グルメの屋台、音楽イベント、そして夜空を彩る花火など、にかほの夏は見どころが盛りだくさんです。
家族連れや観光客でにぎわい、まち全体がひとつのフェスティバルのような雰囲気に包まれます。
屋台まつりin象潟|初夏を彩る地元の味と笑顔
6月上旬に開催される「屋台まつりin象潟」は、約30店舗の屋台が並ぶ人気イベントです。
懐かしい縁日の雰囲気と地元ならではの味が楽しめ、まるで夏の始まりを告げる鐘のような存在です。
地元グルメと人の温もりが交わる初夏の風物詩として、観光客にも親しまれています。
| お祭り名 | 屋台まつりin象潟 |
|---|---|
| 開催時期 | 6月上旬 |
| 会場 | 象潟町中心部 |
| 内容 | 屋台・ゲーム・グルメ販売 |
にかほ夏フェスティバル|音楽とグルメで盛り上がる2日間
7月中旬に開催される「にかほ夏フェスティバル」は、夏のエネルギーを感じられるにぎやかなイベントです。
道の駅象潟「ねむの丘」周辺では、ステージライブやキッチンカーが並び、昼も夜も大盛況。
超神ネイガーショーや地元アーティストのライブで、にかほの夏を思いきり楽しめます。
| お祭り名 | にかほ夏フェスティバル |
|---|---|
| 開催時期 | 7月中旬 |
| 会場 | 道の駅象潟「ねむの丘」 |
| 内容 | 音楽ライブ・キッチンカー・ヒーローショー |
にかほの花火|日本海に映える幻想的な光景
8月下旬に象潟海水浴場で行われる「にかほの花火」は、夏の夜を締めくくる一大イベントです。
約60分にわたる打ち上げ花火が日本海の水面に映り込み、幻想的な世界を作り出します。
2025年は市制20周年記念として特別なプログラムが予定されており、多くの人で賑わうでしょう。
にかほの夜空を彩る感動のフィナーレを、ぜひ体験してみてください。
| イベント名 | にかほの花火 |
|---|---|
| 開催日 | 8月23日(土)予定 |
| 会場 | 象潟海水浴場 |
| 特徴 | 約60分間の花火ショー・キッチンカー出店 |
番楽のお盆公演|祖先への感謝を舞に込めて
お盆の時期には、鳥海山のふもと各地で「番楽」の公演が行われます。
釜ケ台・小滝・横岡などの集落で披露される番楽は、約400年にわたって受け継がれてきた伝統の舞です。
お盆の灯りの中で舞う姿には、先祖への感謝と地域の絆が込められています。
静寂の中に響く太鼓と舞の音色が、夏の夜を特別な時間に変えてくれることでしょう。
| 行事名 | 番楽のお盆公演 |
|---|---|
| 開催時期 | 8月13日前後 |
| 会場 | 釜ケ台・小滝・横岡など市内各地 |
| 内容 | 番楽公演(獅子舞・武士舞・狂言舞など) |
秋のお祭り|実りを祝う芸能と人のつながり
実りの秋を迎えるにかほ市では、豊かな自然と人々の感謝の心を表すお祭りが数多く開催されます。
伝統芸能と秋の味覚、そして地域の絆が一体となる季節です。
まちを歩けば、どこか懐かしくあたたかな空気に包まれます。
鳥海山伝承芸能祭|地域の魂を今に伝える舞台
9月上旬に行われる「鳥海山伝承芸能祭」は、にかほ市に伝わる複数の伝承芸能を一度に楽しめる貴重なイベントです。
金浦神楽や小滝番楽、横岡番楽など、各地区に受け継がれた舞や演目がステージで披露されます。
これらの芸能は、山岳信仰や農作の祈りを背景にしたものであり、地域の歴史と信仰の記憶を現代に伝える舞台といえるでしょう。
| お祭り名 | 鳥海山伝承芸能祭 |
|---|---|
| 開催時期 | 9月上旬 |
| 会場 | 市内各所 |
| 内容 | 番楽・神楽・伝承芸能の公演 |
金浦湾頭まつり|港町の風情と夜空を彩る花火
9月中旬に金浦地区で開催される「金浦湾頭まつり」は、港町ならではの雰囲気が魅力のお祭りです。
海の安全と豊漁を祈願する神事とともに、夜には花火が打ち上げられ、金浦湾の水面に反射して美しい光景を作り出します。
港の香りと花火の光が織りなす幻想的な夜は、訪れる人々の心に深く刻まれることでしょう。
| お祭り名 | 金浦湾頭まつり |
|---|---|
| 開催時期 | 9月中旬 |
| 会場 | 金浦地区(金浦港周辺) |
| 内容 | 神事・花火大会・地域交流イベント |
にかほ秋フェスティバル|秋の味覚とクラフトの祭典
10月に開催される「にかほ秋フェスティバル」は、秋の味覚やクラフト作品が一堂に会する人気イベントです。
道の駅象潟「ねむの丘」では、旬の食材を使ったフードブースやE-バイク体験、クラフト市などが開催されます。
地元の生産者や作家が集まり、にぎやかで温かな雰囲気に包まれます。
2025年は市制20周年の特別企画も予定されており、にかほの魅力を五感で味わえるイベントとして注目を集めています。
| イベント名 | にかほ秋フェスティバル |
|---|---|
| 開催時期 | 10月中旬 |
| 会場 | 道の駅象潟「ねむの丘」 |
| 内容 | グルメ・クラフト市・アクティビティ |
にかほ市の伝承芸能を知る
にかほ市には、鳥海山信仰とともに育まれた多くの伝承芸能が残されています。
中でも「番楽」と「金浦神楽」は、地域の誇りとして今も受け継がれる貴重な文化です。
それぞれの舞に込められた意味を知ると、お祭りがもっと深く味わえるでしょう。
番楽とは|修験の山から伝わる舞の文化
「番楽(ばんがく)」とは、鳥海山に伝わる修験者の信仰から生まれた舞の芸能です。
獅子舞、武士舞、狂言舞など多彩な演目があり、五拍子の囃子に合わせて力強く舞われます。
にかほ市では、釜ケ台・冬師・伊勢居地・小滝・横岡の5つの集落でそれぞれ独自の番楽が伝えられています。
特に釜ケ台番楽は18演目もあり、全てを舞うと3時間以上にもなる壮大な舞台です。
地域ごとに舞のリズムや所作が異なり、それぞれの土地の個性が表れるのも番楽の魅力のひとつです。
| 伝承芸能名 | 番楽 |
|---|---|
| 起源 | 鳥海山の修験信仰に由来 |
| 特徴 | 獅子舞・武士舞など多彩な演目 |
| 伝承地区 | 釜ケ台・冬師・伊勢居地・小滝・横岡 |
金浦神楽|未来へ受け継がれる子どもたちの祈り
「金浦神楽」は、金浦地区に約400年前から伝わる神楽で、主に掛魚まつりで奉納されます。
水色と白の衣装をまとった子どもたちが笛や太鼓の音色に合わせて舞い、神に感謝と祈りを捧げます。
次の世代へ文化を手渡す象徴的な舞として、地域の未来への希望が込められています。
| 伝承芸能名 | 金浦神楽 |
|---|---|
| 起源 | 約400年前(江戸時代初期) |
| 主な奉納行事 | 掛魚まつり |
| 特徴 | 子どもが中心となって舞う神楽 |
年間お祭りカレンダーと観光のヒント
にかほ市では、四季を通して個性豊かなお祭りが開催されています。
訪れる季節によって異なる風景や文化を楽しめるのが、このまちの魅力です。
旅行を計画する際は、カレンダーを参考にお祭りの時期をチェックしてみましょう。
にかほ市のお祭り年間スケジュール表
以下は、にかほ市の主なお祭りを時期ごとにまとめた一覧です。
伝統行事から音楽フェスまで、1年中楽しめるイベントが揃っています。
| 時期 | お祭り・イベント名 | 開催場所 |
|---|---|---|
| 2月4日 | 掛魚まつり(たらまつり) | 金浦地区 |
| 5月最終土曜 | 小滝のチョウクライロ舞 | 金峰神社 |
| 6月上旬 | 屋台まつりin象潟 | 象潟町 |
| 7月中旬 | にかほ夏フェスティバル | 道の駅象潟「ねむの丘」 |
| 8月下旬 | にかほの花火 | 象潟海水浴場 |
| 9月上旬 | 鳥海山伝承芸能祭 | 市内各所 |
| 9月中旬 | 金浦湾頭まつり | 金浦地区 |
| 10月中旬 | にかほ秋フェスティバル | 道の駅象潟 |
| 12月〜1月 | 七高神社の正月年占行事 | 七高神社 |
お祭りを楽しむための交通・マナー・注意点
にかほ市を訪れる際は、移動手段を事前に確認しておくのがポイントです。
公共交通機関の本数が限られているため、車での移動が最も便利です。
道の駅象潟「ねむの丘」には広い駐車場があり、イベントの拠点として利用しやすいですよ。
また、伝統行事の見学では地域の方々への敬意を忘れずに。
静かに見守ることで、文化の息づかいをより深く感じることができます。
開催日時は年によって変わる場合があるため、公式サイトや市の観光情報を事前に確認しましょう。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 移動手段 | 車がおすすめ(駐車場あり) |
| マナー | 伝統行事では静かに観覧・撮影は控えめに |
| 情報収集 | 市の公式サイトや観光協会SNSをチェック |
まとめ|にかほ市のお祭りが教えてくれること
にかほ市のお祭りを通じて見えてくるのは、自然とともに生きる人々の姿です。
海や山への感謝、地域の絆、そして文化を未来へ伝えようとする想い。
そのどれもが、にかほの祭りに込められています。
鳥海山の麓で舞われる番楽、港で響く太鼓の音、冬の雪の中で灯る祈りの火。
ひとつひとつの祭りが、まちの歴史と人々の心を今へとつないでいるのです。
にかほ市を訪れることは、ただの観光ではなく「文化と人の物語」に触れる旅。
季節を変えて何度でも訪れたくなる、そんなまちがにかほ市です。
| まとめポイント | 内容 |
|---|---|
| にかほ市の魅力 | 自然・伝統・人の温かさ |
| お祭りの役割 | 地域の絆と信仰の継承 |
| おすすめの過ごし方 | 四季ごとに異なる祭りを巡る旅 |

