【203cmセルビアビッグマン加入】イゴール・スヴェトリシック練習生契約で、ハピネッツは何が変わる?

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東地区最下位に沈む秋田ノーザンハピネッツに、ようやく「未来」を感じさせるニュースが飛び込んできました。12月17日、クラブは山梨学院大学在学中のビッグマン、イゴール・スヴェトリシックの練習生加入を発表。203cm・108kgのセルビア出身PF/Cが、今の秋田にどんなインパクトをもたらしてくれるのか──ブースターとしては気になって仕方ないところです。

今季の秋田はここまで4勝19敗、東地区12位。タナー・ライスナーの脳震とうによる離脱、田口成浩の大怪我も重なり、「ディフェンスの強度」「リバウンド」「日本人ローテの厚み」と、チームの生命線がいくつも削られてしまいました。仙台戦・三河戦のように、良い時間帯がありながらも40分持たずに崩れる試合が続いているのも事実です。

そんな中でのイゴール加入は、いわば「今シーズンのため」と「来シーズン以降のため」を両方見据えた一手に見えます。本記事では、ブースター目線でこのニュースを深掘りしつつ、「どんな選手なのか?」「秋田でどう生きるのか?」「過度な期待とどう付き合うべきか?」を丁寧に整理していきます。

イゴール・スヴェトリシック練習生加入の概要

まずは、今回発表された内容をざっくり整理しておきましょう。イゴール・スヴェトリシックは、セルビア出身の23歳。ポジションはPF/Cで、身長203cm・体重108kgというサイズの持ち主です。現在は山梨学院大学に在学中で、「第101回関東大学バスケットボールリーグ戦」2部では22試合に出場し、平均11.5得点・10.3リバウンドを記録。関東1部昇格に大きく貢献したインサイドプレーヤーです。

一方の秋田は、ここまで通算4勝19敗で東地区最下位。11月25日にはタナー・ライスナーが脳震とうでインジュアリーリスト入りし、日本人エースの田口成浩も右膝前十字靭帯断裂・右外側半月板損傷という重傷で離脱中。「スコアラーとリーダーを同時に失ったチーム」に、リバウンドとサイズをもたらす新たなビッグマンが加わる構図です。

もちろん現時点ではあくまで「練習生契約」。いきなりローテーション入りしてB1の試合に出てくる…という段階ではありません。それでも、今シーズンの秋田の戦い方、そして来季以降のロスター構成を考えるうえで、非常に意味のある補強であることは間違いありません。

プロフィール・経歴|セルビア生まれ、山梨学院で育った203cmPF/C

セルビア出身・23歳のインサイドプレーヤー

イゴール・スヴェトリシックは2002年12月15日生まれの23歳。バスケットボール強豪国として知られるセルビア出身で、ヨーロッパらしいビッグマン文化の中で育ってきた選手と言えます。ポジション表記はPF/Cですが、サイズ的にはセンター寄り。日本のB1環境で考えると、いわゆる「4番も5番も守れる、やや機動力寄りのビッグマン」に分類されそうです。

203cm・108kgという体格は、現在の秋田ロスターの中でも十分な迫力があります。ピンダーやウェッツェルのような“超絶アスレチック”タイプとは違い、ゴリゴリのパワーとフィジカルで押していくというよりは、ポジショニングとリバウンドのセンスで勝負するタイプ。いわば「汚れ仕事も厭わない仕事人ビッグマン」という印象です。

山梨学院でダブルダブル量産、関東1部昇格の立役者

山梨学院大学では、「第101回関東大学バスケットボールリーグ戦」2部において22試合出場で平均11.5得点・10.3リバウンドという堂々たる数字を残しています。二桁得点・二桁リバウンドの“ダブルダブルライン”をコンスタントに叩き出し、チームの1部昇格に大きく貢献しました。

試合レポートを読んでいくと、「ポストプレーで確実に得点」「自らインターセプトしてダンク」「オフェンスリバウンドからねじ込む」といった描写が目立ちます。ホーム開幕戦では、序盤からポストアップ→得点、インターセプトからのダンクで会場を沸かせ、その後もインサイドで存在感を発揮。最大13点差を追う展開の中でも、オフェンスリバウンドから得点を重ね、逆転勝ちに大きく貢献しています。

スターティング5にも名を連ねる常時出場の中心メンバーで、監督やキャプテンのコメントを見ても「ディフェンスとリバウンド」を評価されていることがよく分かります。得点はあくまでその延長線上にあるもの、というイメージです。

試合から見るプレースタイルと強み

ポストプレーとオフェンスリバウンドで流れを変えるタイプ

山梨学院の試合描写から分かるイゴールの特徴は、まず「ゴール下でチームの流れを変えられるビッグマン」という点です。ポストプレーでミスマッチを突き、相手の小さいラインナップに対してはしっかりと高さの優位性を使う。自らインターセプトして走り切り、ダンクでフィニッシュするようなトランジションの参加もできる。

さらに、最大13点のビハインドを背負った試合で、オフェンスリバウンドから何度も得点を稼ぎ、チームの追い上げムードを作り出しています。秋田が今季、何度も「いいディフェンスをしたのにリバウンドを取れずにセカンドチャンスを決められる」パターンで苦しんでいることを考えると、これはかなり魅力的なポイントです。

「リバウンドとディフェンス」が自覚された仕事の軸

試合後インタビューで、イゴール本人は「自分はビッグマンのポジション。自分の一番大事なところはリバウンドとディフェンスなので、そこに集中して頑張った」と語っています。このコメントだけでも、彼が自分の役割をしっかり理解してプレーしているタイプだと分かります。

秋田は「ディフェンスのチーム」を掲げながら、今季はその看板に見合う試合がなかなか続きませんでした。仙台戦のようにディフェンスの強度が自壊したゲームもあれば、宇都宮戦・三河戦のように「良い時間帯」と「悪い時間帯」の差が極端な試合も多い。そこに「役割を絞ったリバウンド&守備のビッグマン」が入ることで、試合の中でディフェンスのギアを一定以上に保つ“アンカー”のような役割を期待したくなります。

怪我からの復帰と“メンタルの強さ”というストーリー

イゴールには、もうひとつ秋田と重ね合わせたくなるストーリーがあります。本人のコメントによると、昨シーズンの試合で大きな怪我を負い、長期間試合に出られなかったとのこと。「早く戻りたかったけれど戻れなかった。だから今年はやり直し」と語る姿には、メンタル面の強さと、バスケットへの純粋な愛情がにじんでいます。

4勝19敗という厳しい現実の中で戦う秋田にとって、「一度大きくつまずいても、もう一度やり直す」というマインドは、チーム全体で共有したいキーワードです。イゴールのキャリアと秋田の今季は、ある意味で「一緒に再出発する物語」として描けるかもしれません。

秋田ノーザンハピネッツで期待される役割

ライスナー不在のインサイドに、練習から圧をかける存在

現時点でイゴールはあくまで練習生契約。すぐにB1の試合でローテーション入りするかどうかは、コンディションやチーム状況次第です。それでも、ライスナー不在の今、203cmのビッグマンが練習に入る意味は小さくありません。

ピンダーやウェッツェルが、練習の段階から常にサイズとフィジカルのある相手とやり合える環境が整うことは、ゲームの終盤でのリバウンドやポストディフェンスの精度向上につながります。「練習のインサイドの強度がそのまま試合終盤の粘りに直結する」のは、今季の試合を見て来たブースターほど痛感しているはずです。

“秋田らしいディフェンス”を取り戻すピースになれるか

宇都宮との2連戦では、「これぞ秋田」というタフなディフェンスでチャンピオンチームを本気にさせました。一方で仙台戦ではディフェンスが崩壊し、ゾーンを全く崩せないまま大敗。三河戦でも前半は良かったものの、ゾーンとフラストレーションから崩れていく悪循環が顔を出しました。

そんなチームにとって、「リバウンドとディフェンスこそ自分の仕事」と言い切れるビッグマンの加入は、戦術面以上にマインド面で大きいかもしれません。イゴールが練習から無骨にリバウンドを追い続けるだけで、チームにとっての“当たり前の基準”は確実に引き上がるはずです。

日本人ビッグマン陣との競争と相乗効果に期待

もう一つ見逃せないのが、日本人インサイド陣との相乗効果です。今季は元田大陽、高比良寛治、土屋アリスター時生らがそれぞれの持ち味を出しながらも、「あと一歩」のところで勝ち切れない試合が続きました。

そこに、大学リーグでダブルダブルを量産してきた203cmのビッグマンが加わることで、ポジション争いの競争は確実に激しくなります。もちろん、それは「誰かを押しのける」という話ではなく、「練習のレベルを底上げして、みんなで一段階強くなるためのピース」としての意味合いが強いでしょう。

特に、元田のようにディフェンスで流れを変えられるタイプにとっては、日々の練習でイゴールのようなビッグマンとぶつかれること自体が大きな成長材料。来シーズン以降の秋田インサイド陣を考えると、今このタイミングでイゴールと競い合えるのは、実はかなり贅沢な環境かもしれません。

練習生契約という立場から見えるリスクとチャンス

「いきなり救世主」ではなく、まずはチームに慣れるところから

ブースターとして一番気をつけたいのは、「いきなり救世主として期待しすぎない」ということです。練習生契約はあくまでクラブがじっくり見ていくためのステップであり、「今週末からいきなり20分出場でダブルダブル」といった展開は現実的ではありません。

B1と大学リーグのレベル差、フィジカルの差、ルールや判定の感覚の違い。さらに、秋田独特の“ディフェンスの約束事”を覚える必要もあります。最初のうちは、練習での貢献と、ベンチでの声出し、チームに溶け込むことのほうが大事になるでしょう。

とはいえ、今の秋田のロスター構成と試合内容を見れば、イゴールにチャンスが回ってくる可能性は十分あります。怪我人が戻る前に、練習や練習試合で「これは使ってみたい」と思わせることができれば、シーズン中盤〜終盤でスポット的にでも出番を掴む未来はありえます。

それでも期待したい3つのポイント

過度な期待は禁物ですが、それでもブースターとしてワクワクしてしまうポイントはあります。ここでは、イゴール加入で特に期待したい要素を3つに絞ってみます。「サイズ」「リバウンド」「メンタル」というキーワードで整理すると、かなり分かりやすくなります。

  • ① 203cm・108kgというサイズ
    B1でも通用するサイズ感で、練習からピンダーやウェッツェルと高いレベルのマッチアップができる。
  • ② ダブルダブル級のリバウンド
    大学2部で平均10.3リバウンドは伊達じゃない。セカンドチャンスを増やし、相手のオフェンスリバウンドを抑える役割にフィットしそう。
  • ③ 怪我からの“やり直し”を経験したメンタル
    大怪我で長期離脱を経験し、それでも前向きに「今年はやり直す」と言えるタフさ。4勝19敗から再スタートを切りたい秋田と、マインドが重なる部分が大きい。

この3つが噛み合ったとき、イゴールは単なる「練習要員」を超えて、チームの文化そのものを少しだけ変えてくれる存在になるかもしれません。

まとめ:4勝19敗のチームに届いた“203cmの手”をどう生かすか

イゴール・スヴェトリシックの練習生加入は、戦績だけを見れば暗いニュースが多かった今季の秋田にとって、数少ない「前向きなトピック」です。

・セルビア出身、203cm・108kgのPF/C
・関東2部で平均11.5得点・10.3リバウンドとダブルダブル級の活躍
・「リバウンドとディフェンス」を自分の仕事と自覚しているビッグマン
・大きな怪我から“やり直し”を誓うメンタルの強さ
こうして並べてみると、今の秋田が欲しているピースにかなり近い存在であることが分かります。

もちろん、いきなりB1の試合を左右する存在になるとは限りませんし、期待しすぎて「出さないなら意味ない」と叩くのは違うと思います。大事なのは、イゴールのような選手が練習からチームに入り、インサイドの強度やディフェンスの基準が少しずつでも上がっていくこと。その積み重ねの先に、仙台戦や三河戦のような「崩れ方」を減らしていく未来があるはずです。

ブースターとしては、「イゴールが秋田の練習でどんな表情を見せてくれるのか」、そして将来的に「CNAアリーナ☆あきたのコートに立つ日が来るのか」を楽しみにしつつ、今は静かに見守るフェーズかなと感じています。

4勝19敗という厳しい数字だけを見れば、心が折れそうになることも多いシーズンです。それでも、203cmの新しい仲間が一人増えたことは間違いなくポジティブなニュース。田口やライスナーが戻ってくる日を信じながら、イゴールのような新戦力とともに、もう一度「ディフェンスの秋田」「ハードワークの秋田」を取り戻していきたいですね。

今後もroukyuu.comでは、イゴール・スヴェトリシックの練習での様子や、もしB1デビューの日が来たときには、その一挙手一投足まで追いかけていくつもりです。秋田ノーザンハピネッツの“ここから”を、一緒に見届けていきましょう。

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