3勝15敗のハピネッツに何が起きている?前田HC続投ムードの中で、揺れるブースターの想い

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3勝15敗という厳しいスタートでバイウィークに入った秋田ノーザンハピネッツ。東地区最下位、得失点差も大きくマイナスという数字だけを見ると、さすがに気持ちが折れそうになりますよね。

しかも、けが人続出で本来のローテーションは組めず、試合によっては「実質、日本人中心で戦っている」時間帯も多い現状。そんな中でも前田顕蔵HCは会見で前向きな言葉を発し続け、「やる気満々」に見えるからこそ、ブースターの中には「いや、その前に結果出してくれよ…」「もうやめてほしい」とイライラが募っている人も少なくないはずです。

この記事では、長崎戦までの前田HCのコメントや、アリ・メザーのレバノン代表選出、インジュアリーリストの情報などを整理しながら、「前田HC続投が既定路線の中で、ブースターはどう心の整理をして、どう応援していけばいいのか」を、応援目線+辛口トークで一緒に考えていきます。

3勝15敗という現実──「やめてほしい」と感じるのは当然の感情

まず大前提として、今季ここまでの3勝15敗という成績は、これまでの秋田を知るブースターからすると、ショックが大きすぎる数字です。平均得点は60点台後半とリーグ下位で、失点も多く、プラス材料を探すのが難しいスタートと言っていいでしょう。

負けが込むと、「采配が悪い」「外国籍の使い方がおかしい」「そもそも補強が遅い」など、どうしてもヘッドコーチやフロントに矛先が向きます。X(旧Twitter)やコメント欄でも、前田HCの続投に否定的な声、強い言葉で批判する投稿が目立ち始めています。

正直に言えば、ここまで勝てていない状況で「HCを変えてほしい」と思うのは、ごく自然なブースター心理です。たくさんお金と時間を使って会場に通い、DAZNやバスケットLIVEに加入して追いかけているからこそ、「このままでいいの?」と不安になるのは当たり前です。

ただ、その感情だけで「全部HCのせい」「やる気がない」と切り捨ててしまうと、見えるものが極端に少なくなってしまいます。いったん深呼吸して、「何が起きているのか」「何がHCの責任で、何が環境要因なのか」を整理してみましょう。

前田顕蔵HCは本当に「やる気満々」なのか──長崎戦後会見から読み解く

長崎ヴェルカとの第2戦後、前田HCは会見で、前半の粘りを評価しつつも、第4Qで得点が止まり大敗したことについて「選手にもブースターにも申し訳ない」と語りました。さらに、「けが人でロスターがそろわない中で、どうやって勝負できる形を作るかは自分の責任」と、今の状況に真正面から向き合う姿勢も見せています(要旨)。

外から見ると、いつもの落ち着いた話し方で淡々と語っているように見えるので、「悔しさが伝わってこない」「危機感が足りない」と感じる人もいるかもしれません。でも内容をよく聞くと、「コミュニケーション」「助け合うマインド」「フラストレーションを溜めない」など、チームとして変えたいポイントをかなり具体的に口にしているんですよね。

「助け合うマインド」とディフェンス再構築へのこだわり

前田HCが繰り返し口にしているのが、「ミスが起きたときに、責め合うのではなく、どう良くするかを話し合えるチームにしたい」という点。昨季まで秋田のアイデンティティだった“40分間ハードディフェンス”は、今季ここまで影を潜めていますが、その土台には「5人で連動するコミュニケーション」が必要です。

実際、長崎戦でも前半はローテーションが揃った時間帯でスティールも生まれ、ある程度ゲームになっていました。問題は、ビハインドが10点前後に広がったあたりから、フラストレーションで声が止まり、一気に崩れてしまう時間帯が長いこと。ここを「メンタルの弱さ」とだけ切り捨てず、練習やゲームプランでどうカバーしていくかが、前田HCの仕事になります。

アリ・メザーへの「一番いいPG」発言に見える期待値

会見の中で印象的だったのが、アリ・メザーについて「秋田で一番いいPGだよと言い続けている」という言葉です。メザーは来日1年目ながら、平均5.4得点・4.1アシストと、数字以上にゲームメイクの部分で存在感を出してきました。

ただ同時に、日本の笛やフィジカルの基準に戸惑い、すぐ審判を見てしまう癖があるとも指摘。ハーフタイムでも「表情やジェスチャーは全部チームに伝染する」と話し込み、後半は持ち直したと明かしています。ここからは、メザーを秋田のリーダー格に育てたいという強い意図が読み取れます。

けが人続出でローテ崩壊──「外国籍もアジア枠もそろわない」試合が続く現実

もちろん、「けが人が多いから仕方ない」で済ませてしまうと、それはそれで建設的ではありません。ただ、現状を冷静に把握するために、どれだけ主力が欠けているかは一度整理しておきたいところです。

まず、日本人の大黒柱である田口成浩が右膝前十字靭帯断裂などの大怪我でインジュアリーリスト入り。クラブ公式発表でも長期離脱が明言されています。

さらに、インサイドの要であるタナー・ライスナーも、名古屋戦で脳振とうと診断され、Bリーグの段階的復帰プロトコルに従って慎重な復帰が求められる状況。ウィングの栗原翼もコンディション不良で欠場が続き、ローテーションは完全に崩れました。

試合によっては、ピンダーが欠場し、ライスナーも不在の中で、実質「外国籍1枚+アジア枠1枚+日本人だけ」で40分を戦うような日も出てきています。B1のゲームスピードと身体のぶつかり合いを考えると、これは正直、かなり無理をしているラインナップです。

「補強の噂もない」ことがブースターの不安を増幅させる

ここまで戦力が欠けているにもかかわらず、現時点で目立った新外国籍やアジア枠補強のニュースは出ていません(少なくとも公式発表ベースでは静かなままです)。ブースターとしては、「この戦力のまま、宇都宮・A東京・千葉と戦い続けるの?」という不安がどうしても膨らみます。

「けが人は戻るまで待つ」「新戦力はすぐには来ない」──この“何も動いていないように見える時間”こそ、ファンのイライラが爆発しやすいポイントです。本当は水面下で動いていても、情報が出てこない限り、ブースターには伝わりません。

アリ・メザーのレバノン代表選出──ポジ要素か、さらなる痛手か

そんな中で飛び込んできたのが、「FIBAバスケットボールワールドカップ2027 アジア予選Window1」のレバノン代表に、アリ・メザーが選出されたというニュース。これは間違いなく、選手個人としてもクラブとしても誇らしい出来事です。

レバノン代表はアジアでもトップクラスの実力国で、国際舞台での経験値はB1のタフな戦いにも必ず活きてきます。「秋田のPGが世界と戦う」というストーリーは、クラブのブランド価値を高める意味でもプラスです。

しかし現実には、バイウィーク中も5対5が組めないジレンマ

一方で、チーム状況だけを見れば、バイウィークは本来「5対5でゲーム形式をガンガンやりたい」タイミング。そこから主力PGが抜けてしまうのは、やはり痛い側面もあります。前田HCも会見で、「代表で抜ける選手もいて、5対5ができない」と正直に語っています。

ここで大事なのは、「メザーの代表選出=チームを置き去りにしている」では決してないということです。むしろ、秋田というクラブが国際レベルのPGを連れてきて、代表に送り出しているというポジティブな要素も忘れたくありません。ただ、その間に日本人ガード陣や若手がどこまで台頭できるかが、シーズン後半のカギになります。

「やめてほしい」と言う前に整理したい3つのポイント

ここからは、ブースターがモヤモヤを少しでも言語化するために、「前田HCやフロントに何を求めるべきか」を3つの視点で整理してみます。

① 采配の問題と「戦力の絶対量」の問題を分けて考える

今季の秋田には、もちろん采配上の課題もあります。タイムアウトのタイミング、ゾーンとマンツーマンの使い分け、ピック&ロールのディフェンスで生まれるミスマッチ、3Pを連続で決められる、外国籍の同時起用時間帯、日本人選手の起用法など、「こうしてほしかった」という場面は誰しも浮かぶはずです。

ただ、同時に考えたいのは、「そもそも今のロスターがB1の平均的な戦力と比べてどうか」という視点です。健康な状態のピンダー・ライスナー・ウェッツェル・メザーが揃っていれば、また見える景色は違っていたはず。采配だけを責めても、ケガで使えない戦力は戻ってきません。

② フロントの補強戦略と「説明責任」

ブースターのイライラを一番増幅させているのは、おそらく「今後どうするのかの説明が見えにくい」ことです。補強をしないのか、できないのか。けが人はいつ頃戻る見込みなのか。アジア枠や外国籍の追加は検討しているのか。

もちろん、交渉中の情報をすべて出すことはできません。それでも、「現状のケガ人状況」「クラブとしてどういう方向性で動いているか」の大枠だけでも発信してくれると、ブースターの心の持ちようは大きく変わります。ここは正直、クラブ側のコミュニケーションをもっと改善してほしいポイントです。

③ ブースターができる“建設的なイライラのぶつけ方”

感情としての「やめてほしい」「もう見ていられない」は、抑え込む必要はありません。ただ、それを選手やHC個人への誹謗中傷にしてしまうと、チームは確実に崩れますし、何よりバスケットを楽しむ自分自身の心も削られます。

おすすめなのは、「試合のどこがダメだったのか」「どこは良くなってきているのか」を、できるだけ具体的に言語化してみることです。「オフェンスが重い」だけでなく、「ピンダーにボールが入らないときのプランBがない」「日本人がリングにアタックしきれていない」など、プレー単位・時間帯単位で見ていくと、次の試合で“伸びしろ”を探しやすくなります。

そのうえで、SNSやブログで建設的な意見として発信したり、クラブへの問い合わせフォームから冷静に意見を送ったりする方が、ただ怒鳴るよりもずっとチームのためになる「叱咤激励」になります。

宇都宮ブレックス戦までに、何が変われば希望が持てるのか

バイウィーク明けには、いきなり東地区上位の宇都宮ブレックスとのアウェー2連戦が待っています。正直、今の戦力状況を考えると、楽観視できるカードではありません。それでも、「ここが変われば戦える」というポイントはいくつかあります。

日本人選手の役割拡大と「打ち切る勇気」

長崎戦では、赤穂雷太が第3Qに3本の3ポイントを決め、一時は追い上げムードを作りました。土屋もピンダー不在の中でプレータイムを伸ばし、ミスはありながらも得るものの多いゲームを経験しています。

宇都宮戦では、「ピンダーとウェッツェルに頼りきり」ではなく、日本人選手が自分からシュートを打ち切るシーンをどれだけ増やせるかが重要です。打って外れるのはOK、打たずに24秒を迎えるのが最悪──この意識をチーム全体で共有できると、オフェンスの停滞時間は確実に短くなります。

ディフェンスアイデンティティの“最低限ライン”を取り戻す

かつての秋田は、「シュートが入らなくてもディフェンスだけは絶対に落とさない」チームでした。今季は、そのディフェンス強度が40分続かない試合がどうしても多くなっています。原因は、ローテーションの崩壊でファウルトラブルが怖くなり、スタートからギアを上げ切れないこともあるでしょう。

現実問題として、今のメンバーで昨季と同じ強度を40分続けるのは難しいかもしれません。それでも、「ここだけは絶対にやり切る」というディフェンスルールを2〜3個に絞り、それを全員で守り切ることはできるはずです。例えば、「トランジションの戻りだけは絶対に走り切る」「コーナー3だけは絶対に消す」といった“最低限ライン”を決めるだけでも、失点の印象はガラッと変わります。

まとめ:前田HC続投の中で、ブースターはどう秋田を応援していくか

今のクラブの動きを見ていると、少なくともバイウィーク前後でヘッドコーチ交代、という流れにはなっていません。つまり、「前田顕蔵HCと一緒に、このしんどいシーズンをどう乗り越えるか」が、現実的なシナリオです。

3勝15敗、けが人続出、補強の噂も聞こえてこない──数字と状況だけを並べると、本当にしんどいですよね。「もう会場に行きたくない」「シーズンパスを手放したい」と感じているブースターがいるのも理解できます。

それでも、あえてポジティブな材料を拾うなら、

・メザーがレバノン代表に選ばれるレベルのPGであること
・ピンダーやライスナー、栗原らが戻ってきたとき、ローテーションの厚みが一気に変わる可能性があること
・土屋や若手が、この苦しい時間帯でしか得られない経験値を積んでいること

このあたりは、後から振り返ったときに「ターニングポイントだった」と語れるかもしれません。

ブースターとしてできるのは、「全部を肯定すること」でも「全部を否定すること」でもなく、良いところはちゃんと褒め、ダメなところは具体的に指摘しながら、それでも会場や画面の向こうから声を届け続けることです。

前田HCのやる気と、ブースターのイライラ。このギャップが少しでも埋まっていくように、roukyuu.comではこれからも秋田ノーザンハピネッツを「応援しながら辛口」で追いかけていきます。あなたの感じているモヤモヤも、ぜひ一緒に言葉にしていきましょう。

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