西地区上位をひた走る長崎ヴェルカに、東北の意地・秋田ノーザンハピネッツが挑んだB1第11節GAME1。結果は70-91とスコアだけ見れば完敗でした。
ただ、この試合は「ただ大差で負けました」で終わらせるにはもったいない内容でした。高比良の古巣対決、ピンダーの連続3P、相原&赤穂のガッツあふれるドライブ…。一方で、長崎の3P精度と個の突破力に、秋田のディフェンスアイデンティティがどう崩されたのかもハッキリ見えたゲームでした。
この記事では秋田ブースター目線で、試合の注目ポイントやゲームの流れを「がっつり濃いめ」で振り返りつつ、ケンゾーHCや選手コメント動画、ハイライトの見どころ、そしてGAME2への改善ポイントまで踏み込んでいきます。「内容までちゃんと知りたい」コアな秋田ファン向けの辛口レビューとして、一緒に振り返っていきましょう。
今日の試合の注目点
まず、このGAME1を語るうえで押さえておきたい注目ポイントを整理しておきます。
① 西のハイパーオフェンス vs 秋田のディフェンスアイデンティティ
今季の長崎ヴェルカは、3Pとトランジションを武器にリーグでもトップクラスのオフェンス力を誇るチーム。そこにディフェンスとハードワークをアイデンティティとする秋田がどう立ち向かうかは、ブースター的には最大の見どころでした。「3Pをどこまで抑えられるか」「トランジションをどこまで止められるか」が、勝敗を分ける鍵だったと言っていいでしょう。
② 高比良の古巣対決&赤穂復帰
もう一つの大きなトピックが、高比良寛治の古巣・長崎ヴェルカ戦。ヴェルカでの4年間を経て今季秋田に加入した高比良にとって、特別な一戦にならないわけがありません。ベンチスタートながら、キックアウトからしっかり3Pを沈め、存在感を示しました。
さらに、ケガで離脱していた赤穂雷太が復帰したのも朗報。サイズと守備範囲の広さを持つ赤穂が戻ってきたのは、シーズン全体を見てもポジティブなニュースです。
③ 栗原&ライスナー不在の穴をどう埋めるか
一方で、秋田はシューターの栗原、インサイドのライスナーを欠く厳しいローテーション。外の火力とインサイドの厚みが削られた中で、誰がステップアップして穴を埋めるか――というテーマもありました。
メザーのゲームメイク、元田のドライブ、相原のアタック、高比良の3Pなど、今いるメンバーでどこまで「秋田らしさ」を出せるかが試される試合でもあったと言えます。
試合結果・速報
2025-26B1第11節11月15日 秋田ノーザンハピネッツ VS 長崎ヴェルカ GAME1
まずはスコアから振り返ります。
| チーム | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 秋田ノーザンハピネッツ | 20 | 17 | 17 | 16 | 70 |
| 長崎ヴェルカ | 26 | 23 | 23 | 19 | 91 |
最終スコアは秋田70-91長崎。各クォーターでじわじわ差を広げられ、大きく突き放される時間帯と、10点差前後まで詰め寄る時間帯を行き来する展開でした。
秋田のスターティング5は、#10 ヤニー・ウェッツェル、#12 元田大陽、#17 中山拓哉、#22 アリ・メザー、#25 キアヌ・ピンダー。サイズと機動力を兼ねたラインナップで、ヴェルカのオフェンスに正面からぶつかっていきました。
1Q:メザーとウェッツェルで良い入りも、長崎の3Pに先手を取られる
試合はメザーの高速レイアップでスタート。トランジションから一気にリングへアタックし、「今日もいけるぞ」という流れを作ります。すぐにミッチェルのドライブで追いつかれますが、ウェッツェルのポストアップや元田のロング2、中山のリバウンドなど、オフェンス・ディフェンスともに悪くない立ち上がりでした。
メザーのアリウープパスからウェッツェルが決めるシーンもあり、9-6と秋田がリードを奪う時間帯も。メザーがボールを持ったときの「落ち着き」と「仕掛けるタイミングの良さ」は、今の秋田オフェンスの生命線になっています。
ただ、ここから長崎の3P爆撃タイム。山口の3P、韓国の至宝・イ・ヒョンジュンのカットインで一気に点差を詰められると、終盤にはブラントリーのアタックと馬場の3Pが連続でヒット。高比良がウェッツェルのキックアウトから3Pを沈めて一度は18-14とリードを広げますが、それでも1Q終わりには20-26と6点ビハインド。
内容としてはそこまで悪くないのに、決め切る力と3P精度の差で「気づけば6点ビハインド」。ここが今の秋田の苦しさでもあります。
2Q:ブラントリー&ジョンソンに翻弄され、前半で二桁ビハインド
2Qは中山のスチールでスタート。ここで一気に流れを持ってきたかったところですが、すぐさま長崎の3P攻勢に捕まります。秋田が1本決める間に、長崎は外から何本も決めてくるイメージで、ディフェンスとしてはかなり疲れる展開。
インサイドではブラントリーが手が付けられない存在に。ポストでもドライブでもスイッチを嫌がらず攻めてきて、秋田のビッグマン陣はファウルと失点の板挟みになりました。「守れてない」というより、「守っても守っても上から決められている」感覚に近い苦しさです。
それでも中山のドライブ、メザーのレイアップなどでじわじわと食らいつき、一時は35-44まで詰め寄る場面もありました。しかし、ここで出てくるのがスタンリー・ジョンソン。レイアップと3Pで一人で流れを断ち切り、秋田の反撃ムードをあっさり断ち切ってしまいます。
前半終了時点でスコアは37-49。12点ビハインドと、まだ追える点差ではあるものの、長崎のオフェンスの厚さと個の力の差をまざまざと見せつけられた前半でした。
3Q:ピンダーの3Pがようやく火を噴くも、馬場&イ・ヒョンジュンが要所で仕事
後半の立ち上がりで勝負どころを作りたい秋田は、ピンダーが立ち上がりから積極的に3Pを放ちます。最初の数本は外れますが、「打ち続けるしかない」というメンタリティで打ち続けたのは評価したいところ。
ディフェンスでは24秒バイオレーションを奪う場面もあり、「ここから一気にいけるか?」という空気がじわっと出てきたところで、ついにピンダーの3Pがヒット。そこに元田のアタック、ピンダーのフリースローが続き、44-57と少しずつ点差を削っていきます。
さらにウェッツェルのドライブで47-57。点差10まで詰め寄ったところで長崎がタイムアウト。「あと一歩で一桁差」というところまで持っていったこの時間帯は、秋田としても今日のハイライトと言える流れでした。
しかし、ここで長崎のスター陣が再びギアを上げます。イ・ヒョンジュンが今度はレイアップで連続得点、馬場は外からの3Pを沈め、ミッチェルもドライブで加点。前半は3P、後半はドライブと、長崎がオフェンスの形を柔軟に切り替えてきたことで、秋田ディフェンスの的が絞れなくなってしまいました。
この3Q終盤の時間帯で再び点差が広がり、勝負としてはかなり苦しくなります。
4Q:ピンダー連続3P、高比良・相原・赤穂の意地…でも最後は層の厚さの差
4Qは18点差を追いかける展開からスタート。それでもピンダーが連続で3Pを沈め、62-75まで点差を詰めます。外が入るとチーム全体の空気が変わりますし、「まだ諦めないぞ」というメッセージが見えたのはポジティブでした。
一方で、ウェッツェルが4ファウルとなり、オンザコート0の時間帯も発生。インサイドでの守備とリバウンドに不安が出る中、それを根性で埋めにいったのが相原と赤穂でした。
相原はドライブからバスケットカウントをもぎ取り、赤穂はアリウープ気味のショットを決めてアリーナを沸かせます。スコア以上に「気持ち」を感じるプレーが多かったのは、この4Qの時間帯でした。
しかし、最後はやはり長崎の層の厚さ。菅野、星川の3Pが要所で決まり、秋田の追い上げムードにフタをされる形で試合終了。スコアは70-91と21点差の敗戦となりました。
秋田ブースター目線の総括:3P精度と決め切る力の差がそのまま点差に
秋田視点で一言でまとめるなら、「やるべきことはある程度やっていたが、3Pと個の決め切る力の差がそのまま点差になった試合」です。
- メザーのゲームメイク、ウェッツェルのインサイドは機能していた
- ピンダーも後半は外が入り始め、良い時間帯をつくった
- 高比良が古巣相手に3Pを決めて存在感を発揮
- 相原・赤穂がガッツあふれるプレーで流れを変えようとした
それでも、相手は西の上位チーム。長崎はブラントリー、ジョンソン、馬場、イ・ヒョンジュン、ミッチェルと、いつでも誰かが点を取りにいける布陣。秋田は「良いディフェンスをしても、その上から決められてしまう」シーンが多く、精神的にもかなり削られたゲームでした。
辛口に言えば、「ここで止めたい」という場面での集中力とローテーション精度、そしてオフェンス側での「決め切る覚悟」に、まだまだ伸びしろがある――そんな現実を突きつけられた敗戦だったと思います。
ハイライト動画
スコアだけ見るとしんどい内容ですが、プレー単体で見ればワクワクするシーンも多い試合でした。ピンダーの連続3P、高比良の古巣ブッ刺し3P、相原&赤穂のアタックなどは、ぜひ映像で見返してほしいプレーです。
公式ハイライトはこちら:
ケンゾーHCコメント
試合後のケンゾーHCコメント動画はこちら:
現時点では動画の細かい内容まではこちらから確認できていませんが、この試合に関しては「3Pディフェンス」「個の1on1にどうヘルプに行くか」「オフェンスでのボールの動かし方」あたりの話が焦点になっているはずです。
ブースター目線では、「どこまでゲームプラン通りで、どこから崩れたのか」「GAME2で何を変えるつもりなのか」というポイントに意識を向けて聞くと、より楽しめます。
選手コメント(髙比良の古巣対決コメントにも注目)
選手コメント動画はこちら:
高比良にとっては、ヴェルカで積み上げた4年間を背負っての凱旋試合。古巣ブースターも多く見守る中で3Pを決めた瞬間は、秋田ファン的にも胸が熱くなりました。
コメントではきっと、「長崎への感謝」「秋田の一員として勝ちたかった悔しさ」「GAME2への修正ポイント」などに触れているはずです。プレーだけでなく言葉の端々からも、高比良が秋田で何を成し遂げようとしているのかを感じ取れるはずなので、時間があるときにぜひチェックしてみてください。
相手選手のコメントも、秋田がどのように見えていたのかを知る重要なヒントになります。「秋田のどこが嫌だったのか」「誰が脅威だったのか」――敵の目線で見ることで、チームの強みや課題が立体的に見えてきます。
最後に:今日の敗戦をどう次につなげるか
正直、21点差というスコアは重いです。遠征して現地で声を枯らしたブースターも、配信の前で必死に声援を送ったブースターも、「もう少し競りたかった」という思いは強いはず。
でも、この試合は「西のトップクラスのオフェンスと戦うとこうなる」という現実を、シーズン早い段階で知れたという意味では悪くありません。秋田のディフェンスコンセプトが通用する部分もあったし、逆に通用しなかった部分もはっきり見えました。
ピンダーには、外が入らない時間帯でもディフェンスとリバウンドでチームを支える安定感をもっと出してほしいし、ウェッツェルにはファウルトラブルの中でも冷静にゲームをコントロールする「エースセンターのしたたかさ」を期待したいところ。
メザーには、良い時間帯にもっとボールを握ってゲームを掌握する強気を、元田や相原には、今日見せたドライブを「当たり前の武器」にしていってほしい。赤穂には、久々の実戦感覚を取り戻しつつ、守備でもう一枚上のレベルを示してほしいところです。
そして何より、ブースターとしては、今日の悔しさをそのまま持って、明日のGAME2で「アウェーの空気を飲み込むくらいの声援」を送り返すしかありません。西の強豪を倒してこそ、秋田ノーザンハピネッツの物語はもっと面白くなるはずです。
さあ、ここからです。GAME2での「秋田らしいゲーム」を信じて、また一緒に叫びましょう。
