今日の試合の注目点

プレシーズンとはいえ、内容はすでにリーグ戦の匂い。20日(大館)と21日(能代)の京都2連戦で、秋田ノーザンハピネッツは80-79、80-78の1~2点差ゲームを連勝しました。スコアラーのピンダーが出場せず、能代では途中からウェッツェルも下がる苦しい台所事情。それでも勝ち切れた背景には、日本人ローテの守備・リバウンド・ショットセレクションの再現性がありました。応援目線で甘やかさず、良かった点と気になる点を整理します。

試合結果・速報

2025-26プレシーズンマッチ秋田 VS京都2連戦

まずはスコア推移を見て、ゲームの文脈を掴みましょう。2試合とも「入りは良く、途中で主導権の揺り戻し、終盤は遂行力で押し切る」という構図が共通しています。

日付 会場 対戦 1Q 2Q 3Q 4Q 最終 メモ
9/20(土)13:05 タクミアリーナ(大館) 秋田 80–79 京都 17–20 23–21 20–16 20–22 秋田 +1 前半TO多発→後半修正、クロージング勝ち
9/21(日)13:05 NODENアリーナ(能代) 秋田 80–78 京都 28–16 21–25 15–23 16–14 秋田 +2 リード→逆転許す→再逆転で締め

ゲームの流れと評価ポイント

① 前半の課題→後半の修正力(9/20):京都のプレッシャーディフェンスに対して前半はターンオーバーが嵩み、そこからの失点が痛かった。それでもハーフタイムでの調整が機能し、後半はTOが半減。ボール保持者と受け手の角度作り、ショートロール後のセカンドコネクションが整い、3Qで主導権を奪い返しました。

② 日本人ローテの粘り(9/21):能代のゲームは前半28-16の立ち上がりが秀逸。後半にかけて京都の強度が上がるなかで、ウェッツェル不在の時間帯も多かったにもかかわらず、日本人ラインナップで守備強度を落とさず、終盤の1ポゼッション勝負をものにしました。

③ クロージングの形:どちらの試合も70点台~80点台のロースコア接戦。勝ち筋は「守備の継続→リバウンド確保→ショットの“質”を担保」。無理打ちを減らし、コーナーや45度の確度高いスポットからの3P、もしくはファウルドローで時間を使う形が徹底されていました。

個のハイライト/改善ポイント(叱咤激励込み)

  • 田口成浩:勝負どころのショットと声出しでオフェンスに秩序を与えたのは大きい。反面、トランジションの戻りで“もう半歩”の場面も。開幕までに1stステップの守備ポジ取りを微調整したい。
  • 中山拓哉:前日反省(TO)を翌日に生かしたゲームメイクはさすが。ドライブ→キックの判断は及第点。欲を言えば、短時間でのP&R連打時に縦を切る初動の勢いがもう少し欲しい。
  • ウェッツェル:存在感は十分。能代では出場制限(途中から不在の時間帯)もあったが、ハイポの合わせとDFでのボックスアウト徹底で流れを作った。コンディション管理を最優先に。
  • セカンドユニット:前線でのボールプレッシャーとヘルプ→ローテのスピードに改善が見える。課題はミスマッチを突かれたときのスイッチ後の“再配置”。カバー後のリバウンド責任者の明確化が次の一手。

京都側の文脈(相手事情をふまえる)

京都は主将・前田悟の欠場、ファラーズもコンディション面で帯同せず。スターターは澁田、古川、川嶋、ヒース、ジャクソンの布陣。古川・川嶋は言うまでもなく秋田に所縁の深い面々で、意地と意図が交錯する好カードでした。後半に外国籍を下げた時間帯もあり、強度の波が接戦の一因に。秋田としては、この相手事情を差し引いても“勝ち切る感覚”をホーム(秋田的ホーム感のある北奥羽2連戦)で得られたのは収穫です。

数字で押さえる勝因(質の担保)

  • TOコントロール:9/20は前半にミスが先行も、後半で半減。ミドルラインを越える前にパスアウトを選ぶ意思統一が効いた。
  • リム付近の守り:ドライブに対しては“群れで守る”原点回帰。ファウルを恐れずショットコンテストを継続できた。
  • クラッチ時間のショット選択:無理なアイソに頼らず、ピンオフ→キャッチ&シュート、もしくはショートロールからのハイローで高確率を担保。

ハイライト動画

今回はありません(会場カット等のSNS短尺はあり)。

ケンゾーHCコメント

「前半は京都のプレッシャーに対してターンオーバーが多く、そのまま失点につながった。後半は選手がアジャストしてくれて、接戦になったことでクロージングの遂行力の確認もできた。ピンダーと髙比良がいない中で経験値を積みながら勝てたのは良い。」――東北カップからの連勝継続を“ポジティブ”と総括。

秋田選手コメント

  • 田口成浩:「人が少ない中でもやるべきことを遂行。相手が日本人中心の時間帯でもまとまりが崩れなかったのが勝因」
  • 中山拓哉:「前日のターンオーバーは反省。翌日は運びと判断を改善できた。開幕に向けて継続あるのみ」

選手コメント(京都)※秋田目線の補足つき

古川孝敏
結果として2連敗したことに関しては非常に残念です。(中略)自分たちの中でターゲットを持ってやっている中で、良いところも悪いところも出た」

秋田目線補足:終盤のスイッチ後でも古川のキャッチ&シュートを“45度→コーナー”の再配置で最小化。守って勝ち切る秋田の型に対し、古川の所感(良し悪しがハッキリ)は的確。次の対戦では、ピンダー合流時に古川のミドルレンジ対策(追い込む方向の明確化)が鍵。

川嶋勇人
相手は選手がいない中、僕たちもいろんなことを試しました。 前進はしていますが、まだ詰め切れるところがあります」

秋田目線補足:川嶋の読み合い(運びの癖を突くスティール狙い)は健在。ただクラッチでは秋田のボールセキュリティが優位で、ハーフコートの合図隠しと2ndハンドラー投入が功奏。今後は川嶋の“ショウ→戻り”の隙に合わせたショートロール配球をもう一枚用意すると盤石。

不在の影響と“吉兆”の仮説

「結局スコアラーのピンダーは出なかった。これが吉なのかも?」――この問いに答えるなら“吉兆の芽は確かに見えた”が妥当です。理由は3つ。(1)日本人スコアラーの役割が早期に明確化し、試合終盤のショット配分が整理された。(2)守備起点のゲームメイクを再確認でき、ロースコア接戦を勝ち切る“秋田らしさ”を再インストール。(3)インサイドのやりくりにチーム全体が慣れたことで、ピンダー合流後のオプション拡張が素直に効いてくる。もちろん、オフェンスの爆発力はピンダー合流で最大化されるはず。今は“勝ち方の型”を共有できたことが何よりの収穫です。

ブースターに伝えたい“開幕プレビュー接続ポイント”

  • ファストブレイク選択:走るか、落ち着かせるかの判断速度をもう一段引き上げたい。速攻“っぽい”中途半端な選択がTOの温床。
  • リバウンドの責任分担:スイッチ後の再配置をより明確に。誰が弾きを拾うのか、誰が走るのか――役割の声掛けを習慣化。
  • クラッチのプレイブック:コーナーのエレベーターやスタガーの使い分けは良好。もう一つの逃げ道(ハンドオフ→リスク分散)を用意すると安定感が増す。
コーナーのエレベーター(Elevator / Elevator Doors)何それ?

2人のスクリーナー(味方)が“エレベーターのドア”のように間を開けて立ち、シューターがその“間の通路”を**駆け抜けた瞬間にドアを閉じる(近づく)**ことで、追いかけてくるディフェンダーをブロックし、キャッチ&シュートの時間を作るプレーです。
よく使う場所:コーナー側→45度(ウィング)やトップに上がる導線
目的:**一瞬の完全フリー(0.5秒〜1秒)**を作る

スタガー(Staggered Screens / 2連スクリーン)何それ?

2枚の連続スクリーンを少し離して並べることで、ディフェンダーに“2回”の判断を迫るセット。シューターはルートを選びながら抜けてキャッチ&シュート、あるいはドライブへ。
よく使う場所:ベースライン→コーナー→45度、コーナー→トップなど
目的:追いかけDFの体力と判断を削り、ズレの蓄積を作る

最後に

完売の能代、熱気の大館。地元に支えられての2連勝は、数字以上に“チームの輪郭”をくっきりさせました。勝ち切る感覚を持ったまま開幕へ。一方で課題ははっきりしているので、叱咤激励を込めて――「戻りの徹底」「ミスマッチ後のリバウンド責任」「クラッチのもう一手」を詰め切ろう。ピンダーが乗ってきたとき、この2連戦で積んだ地力が必ず生きます。ブースターのみなさん、今季も一緒に“秋田らしい勝ち方”を噛みしめていきましょう。

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