昨季“あと一歩”だった得点力を伸ばせるか?
昨シーズンの秋田は守備指標こそリーグ中位でしたが、平均得点は80点を切り、クラッチタイムでシュートが沈まない場面が目立ちました。チームに欠けていたのは「自力でペイントをこじ開け、かつ外も撃てるフィニッシャー」。その役割を期待されていたのが台湾代表エースガディアガ モハマド アルバシール選手でしたが、平均10.0点・FG39 %にとどまり、オフェンス面で伸び悩んだまま退団となりました。
そこでフロントが連れてきたのが、豪州代表歴を持つビッグウイング、キアヌ・ピンダー選手です。果たして彼は“あと一歩”を埋める救世主となれるのでしょうか。
プロフィール&キャリア比較
キアヌ・ピンダー(Keanu Pinder)
・1995年5月28日生まれ/206 cm・103 kg/PF・C
・NBL2024-25:平均15.8点 6.6リバウンド 1.3アシスト(Perth Wildcats)
・豪州代表としてFIBA予選経験。運動量とフィニッシュ力でNBL MIPを2度受賞。
ガディアガ モハマド アルバシール(Mohammad Al Bachir Gadiaga)
・1998年4月27日生まれ/189 cm・92 kg/SG・SF
・B1 2024-25:平均10.0点 2.8リバウンド 1.6アシスト FG39.0 %(秋田)
・台湾PLGのスコアリングリーダーとして鳴り物入りで来日も、サイズ不足とショットセレクションが課題に。
スタッツで見る実力差
①得点効率
ピンダーはペイント内での決定力が高く、昨季の2点成功率50 %に加え、3 Pも32 %と“置き去りにできるストレッチ4”の片鱗を見せました。一方ガディアガはペリメーター中心で3 P33.9 %と平均値止まり。高確率で簡単に運べるフリースロー獲得率もピンダーが上です。
②リバウンド&セカンドチャンス
206 cmの長身とジャンプ力を持つピンダーはORB2.2本を記録し、攻撃回数そのものを増やせる選手。ガディアガのORBは1本未満で、ここが大きな差となりました。
③ディフェンス貢献度
ピンダーはウイングスパンの長さでスイッチディフェンスに対応し、1試合平均1ブロック弱。ガディアガはサイズとフィジカル不足からミスマッチを狙われやすく、後半戦は出場時間が減少しました。
ピンダーの武器を動画でチェック!
【NBL】25 pts vs Logan(2022)
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NBL25シーズンハイライト集
中でもドライブから右手ダンクに行く瞬発力と、PnRでロールした後の空中ボディコントロールは必見。動画で見ると「ペリメーターでさばけるセンター」のイメージが掴めます。
秋田のシステムにフィットするポイント
- トランジション攻撃:秋田の代名詞“走るハピネッツ”において、リムランナーのピンダーは最重要ピース。
- ハイポスト起点のPnR:熊谷航(残留PG)が得意とする横幅の広いスクリーンにピンダーがロールすれば、相手ビッグは外に釣り出され、ゴール下は真空状態。
- マッチアップ戦略:相手がサイズを下げればインサイドでパワープレー、ビッグを当てれば外に引き出してスペーシング――使い分けが可能。
まとめ:ピンダー加入で期待できる“+5点”
ガディアガ退団で空いたウイングスコアラー枠には、サイズ・機動力・決定力を兼ね備えたピンダーが収まりそうです。実際にNBLで平均15点超を挙げた実績は、「B1でも1試合13~15点」を計算できる数字。昨季、秋田の平均得点(78.9点)がリーグトップ勢と約5点差だったことを考えると、ピンダーが予定通り機能すればチーム全体の得点力が一気にリーグ上位に跳ねる可能性は十分。
もちろんファウルトラブルの多さや3 P安定性といった課題もありますが、リムアタックの迫力とリバウンドの強さは本物。ハピネッツの“あと一歩”を埋めるピースとして、開幕戦から注目して損はありません。新シーズン、「ピンダー・ショー」がCNAアリーナを沸かせるか――期待して待ちましょう!