ホーム開幕でまさかの2連敗、東地区13位と苦しい船出。しかも次の相手は西地区で白星を重ねる島根スサノオマジック。横浜に連勝した攻撃力は本物で、立ち上がりからテンポを上げてくるのが彼らの持ち味です。一方の秋田は「守って走る」アイデンティティがまだ再現途上。特にゾーン多用時の連携ミスと、後半のペイント侵入許容が顕著——ここを修理できなければ、また同じ負け方を繰り返します。この記事では、ブースターの皆さんが知りたい“勝てる具体”を、辛口でもフレンドリーに、そして実務的にまとめました。

現状の整理:何が崩れて、どこから直すのか

いまの秋田は「ゾーンで守る→裏を取られる→ローテの遅れ→ORebを拾われる→また失点」という負の輪が回りがち。さらに後半は脚も声も落ちて、同じパターンでやられる時間帯が伸びています。まずは“非交渉事項(Non-Negotiables)”を3つに絞り、全員で徹底するのが最短ルートです。

  • サイドPNRはICE、中央はWeak——入口の誘導を固定。
  • ダブルは2〜3秒で即解散——長居してコーナー3を献上しない。
  • ベースラインの「最後の人」を固定——試合中ずっと同じ担当を明言。

島根の脅威を分解:ペース、外、セカンドチャンス

立ち上がりの圧——“最初の5分”で主導権を握りにくる

島根は開始直後のテンポアップが鋭い相手。早い展開からのアーリー3、もしくはミスマッチ作りで先に流れを掴む設計です。秋田の焦点は「最初の2本をタフにさせる」こと。ここで楽に入らせなければ、彼らの火力は意外と伸びません。

島根オフェンスの心臓:外国籍デュオの「怖さ」を分解

コティ・クラーク:多能型スコアラー——ペイントも外も“今ある最適解”で刺す

クラークの最大の武器は「選択の速さ」。ポストで駆け引きしながら、相手ヘルプの角度を見てワンドリのミドル、フェイダウェイ、あるいはキックアウトを即断できます。横浜とのGAME1ではチームトップの27点。試合が膠着した時間に連続得点で一気に空気を変え、ホームの初白星を引き寄せました。外のタッチが渋い時間でも、ポストアップ→フリースロー獲得で“点の止血”ができるのも厄介。つまり、守る側がミスをすると「2点」では終わらない。次のポゼッションで3点やアンドワンに“増やされる”怖さがあるのです。

ニック・ケイ:効率の鬼——スクリーン角度とショートロールで試合を整える

ケイは派手さよりも「壊れない効率」。ショートロールからのフロater、左手の小さなプッシュ、逆サイドへのスキップを正確に打ち分けます。横浜とのGAME2では22得点。フィニッシュ精度だけでなく、リムラン→オフェンスリバウンド→再加点で相手の足を止める“嫌な加点”が特徴です。彼がスクリーン角度で守備の足を内向きに縛ると、ウイングに一拍遅れてクローズアウトが飛び、そこを弱サイドで射抜かれる——この形は秋田が最も避けたい失点パターン。

島根が作る“流れ”の正体:立ち上がりの圧→外とリムの二刀流

横浜戦の2試合を通して見えるのは、序盤からテンポを上げて主導権を取りに来る姿勢。GAME1は81–66、GAME2は101–82の完勝。立ち上がりでアーリー3、もしくはミスマッチの1on1から先制パンチを当て、外が入らなければORebで2本目をねじ込む。いずれも“先に走り、先に仕掛ける”ことで相手の交代策を後手に回させています。

秋田の課題を直視:ゾーンの綻びと後半のペイント侵入

秋田はゾーンを多用しますが、背中側(ベースライン)の受け渡しが曖昧で、バックドアとショートコーナーを突かれがち。さらに後半は足と声が落ち、同じ角度からの侵入を許してしまう時間が長い。これではクラークとケイがいる島根に対して“失点が止まらない”時間帯が生まれます。改善の要点は「合図の短縮」と「責任の固定」。複雑な約束事を減らし、誰が最後の人(Last Man)かを常時明示するだけで、裏の失点は目に見えて減ります。

2) サイドPNR→弱サイド展開——遅れた瞬間に刺される型

島根はサイドのピックから弱サイドへ早い球出し。タグとXアウトの優先順位が曖昧だと45度とコーナーをどんどん打たれます。秋田は「ボール→45度→コーナー」の順を状況で入れ替えられるよう、事前に合図を短く決めておくべきです。

3) OReb→再加点——粘りの2本目が厄介

外が入らなくても、オフェンスリバウンドからの突き直しで勢いを持続させるのが島根の粘っこさ。ここはDREB%の目標値を試合前に掲げて、ベンチの声で上書きする運用が効きます。

秋田の勝機:今日から実行できる“5つの即効”

  1. ゾーンは「ハイポを先に埋める」:メザー/ウェッツェルをハイポ位置に立て、ベースラインを1枚遅れてでも守る。ハイローの差し戻しで裏を消し、バックドア警戒の声を切らさない。
  2. サイド=ICE/中央=Weakの徹底:スキームはシンプルに。特例は「シュートの速いガードに対してのみShow&Recover」の一択。
  3. ショートロール合図の短縮:「ショート!」の一言でピンダー/ウェッツェルへ即差し替え。第一解(エレベーター/スタガー)が潰れた瞬間に第二解へ移る。
  4. 二次ブレイクの枚数を増やす:DREB後の「弾く(C)/拾う(PF)/走る(SF)」をベンチがコール。無言の戻りをゼロに。
  5. コーナー3の試投制限:相手のコーナー3を6本以下に。Xアウトの成功を数値化して、試合中に修正できる形へ。

PG論争に終止符を:中山先発の狙いとメザーの活かし方

「正PGではなく中山がスタート」は不思議ではありません。いま必要なのは“ペースの定義付け”と“入口の合図”。中山にはボイスで試合を整える役割が求められています。一方、メザーは持ちすぎず、ショートレンジのフローターと配球で繋ぐタイプ。まだチームに完全アジャストしていないのは事実でも、起点として機能させる設計を用意すれば、攻撃は滑らかになります。

  • 中山:サイドPNRの入口コール(Over/Under/ICE)を短く連呼、トランジション初速の合図役。
  • メザー:ハイポ受け→ショートロールの“合図係”。ベースラインの最後の人との目配せを定型化。

ローテと役割の明文化:迷いを削ると守備は上がる

守備特化の“キル・ラインアップ”を4分運用

メザー—赤穂—高比良—ピンダー—ウェッツェルの5人で、Xアウトとボールプレッシャーを4分だけMAXに。走られ始めたら即投入、流れを切ったら通常ローテへ戻す。「迷ったらこれ」が1枚あると、ベンチ判断が速くなります。

走力特化の“押し返し”ユニット

菅原—田口—赤穂—ライスナー—ピンダー。狙いは二次ブレイクとC&Sの供給量アップ。田口にはセットで“場所”を作る(Stagger→Flare→Backdoorの三段活用)。ライスナーはポップで幅を出し、ピンダーのダイブでリム圧を担保。

ペイントの守り方:侵入許容を止血する3カ条

  1. ナイル(肘)の“ロウタグ”を先に置く——ドライブコースを狭め、パスの角度を限定。
  2. セカンドジャンパーを決める——ブロック狙いより、ミートして体を入れ、ORebの根を断つ。
  3. ファウルマネジメント——前半の早いF2回で守備の強度が落ちるのが最悪。リム下は縦を我慢、横の手で取らない。

ここはシンプルに、DREB%72%以上を掲げて全員で回収率を上げるだけでも失点は目に見えて減ります。

攻撃の“第二解”を増やす:個の単発を連鎖に変える

Horns 45 “Short” —— ピンダーを「決める人+起点」に

トップのHornsからメザー経由でピンダーへショートロール。止まればハイロー、弱サイドは赤穂がスリップ、田口はフレア抜け。1つのセットで3つの出口を用意しておけば、相手のスカウティングを超えられます。「ショート!」の合図を短く全員で共有。

Zoom→Spain —— 内を見せて外を生かす

DHO→バックスクリーン→ロールの連鎖でリムに圧。外が重い時間帯ほど効く定番です。ウェッツェルのスクリーン角度だけで成功率は変わります。

KPIで回す:数字で“できた/できない”を即判定

  • 相手コーナー3試投:6本以下
  • DREB%:72%以上(ウェッツェル帯で上振れ)
  • Potential Assists:35本以上(ショートロール起点を増やす)
  • 田口のC&S試投:5本以上(供給量を指標化)
  • TO由来失点:5点以内(横パスTOの撲滅)

この5項目を試合後5分で自己採点→次戦の重点を2つに絞る。数字で運用すると、準備とアジャストの質が一段上がります。

第3Qの呪縛を解く:後半に崩れる理由と対処

秋田の“後半失速”は、体力よりも情報共有の密度の問題が大きい。ハーフタイムでやることは1つだけ——「最初の3ポゼッションの守り方」を紙に落として全員で復唱。ICE/Weakの徹底、Xアウトの順番、ローテの責任をもう一度、声に出して貼り直す。ここが決まると第3Qの失点は目に見えて減ります。

スタメンはこのままでいいのか:結論“合図が整えば誰でも回る”

正PGでない中山の起用に疑問の声が出るのは理解できます。ただ、問題のコアは個人ではなく合図と役割の不整合。中山スタートの狙い(ペース定義と入口コール)が全員に伝播すれば回ります。メザーはまだアジャスト途中でも、ハイポとショートロールの“合図係”として機能させる余地が大きい。今は「誰を使うか」より「どう使うか」。ここに尽きます。

まとめ:最下位でも勝機は十分——迷いを削り、最初の2本をタフに

島根は強い。横浜に連勝した攻撃力は本物です。それでも、秋田が“合図”を短く揃え、ゾーンの綻びを塞ぎ、DREBから1枚多く走れば、試合は必ずスイングします。鍵は「最初の2本」と「ショート!」。ここさえ押さえれば、後半の失速も止められるし、ペイントの侵入も減らせる。ピンダーの破壊力、ウェッツェルのタフフィニッシュ、田口の一本、中山のボイス、赤穂の先頭走、メザーの繋ぎ——素材は揃っています。後は同じ絵を全員で見るだけ。ブースターの声も、それを後押しします。さぁ、ここから反撃だ。Go! Northern Happinets!